からから
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「どうぞ、お入りください」
オーダメイドの心臓を作ってくれる職人が、客を招き入れた。
「すみません。私の心臓にぽっかりと穴があいてしまったので、強靱な心臓を作ってくれませんか?」
客は、小声で職人に頼んだ。
「わかった。お金は来世払いで結構。それじゃあ、早速、作業に取りかからせてもらうよ」
職人は、額の手ぬぐいをきつく締め直した。
そして、数時間後、強靱な心臓が作られていた。
「おまたせ。ぴったりと入ってくれればいいんだけどな」
職人は、恐る恐る、客の胸の部分に心臓を入れ、安堵した。
客の胸部から、どくどくと心臓が鍵盤の上を走る指のように鳴り始める。
「ありがとうございます」
客は職人に礼を言って、店を出た。
これのおかげで、些細な出来事にも胸が痛むことはなくなかったが、悲しみを我慢できるだけの器が大きくなっただけで、世界から涙は払拭することは出来なかった。
オーダメイドの心臓を作ってくれる職人が、客を招き入れた。
「すみません。私の心臓にぽっかりと穴があいてしまったので、強靱な心臓を作ってくれませんか?」
客は、小声で職人に頼んだ。
「わかった。お金は来世払いで結構。それじゃあ、早速、作業に取りかからせてもらうよ」
職人は、額の手ぬぐいをきつく締め直した。
そして、数時間後、強靱な心臓が作られていた。
「おまたせ。ぴったりと入ってくれればいいんだけどな」
職人は、恐る恐る、客の胸の部分に心臓を入れ、安堵した。
客の胸部から、どくどくと心臓が鍵盤の上を走る指のように鳴り始める。
「ありがとうございます」
客は職人に礼を言って、店を出た。
これのおかげで、些細な出来事にも胸が痛むことはなくなかったが、悲しみを我慢できるだけの器が大きくなっただけで、世界から涙は払拭することは出来なかった。
その他
公開:19/04/11 01:11
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