人間が書けている。

「あの、私、確か小説の書き方講座を受講したつもりなんですが？」
「想像小説講座ね」
「いつになったら書き方を教えて頂けるのでしょうか？」
「え？書かないよ」
「ええ？どういうことですか？」
「書かないし、読まないよ、
一番大切なことを、ニュアンスで教えてく教室なんだよね、勘違いしないでね」
「はあ？書かず読まず何するんですか？」
「想像！」
「意味不明なんですけど…」

「ふふ、君は新顔だったね。ちゃんと説明するとね、小説は想像力が大事なんだ。この教室の目指すところさ、わかる？」
「わかりません！」
「誰でも最初はそんなもんだ、じゃあ佐藤くん、想像してごらん！
『人間が書けている』
この言葉で想像できる表現を言ってくれたまえ！」
「はい！…海外で高い評価！過剰に過酷な人生！主人公が等身大！主人公が難病！主人公が泥沼不倫！大抵両親不仲！」

「ちょっと弱いな」
「やめさせてください！」