内臓二十物語 第六臓(胆嚢)

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採掘場もないのに、美しい石に恵まれた宝石の国がありました。
隣国の王様は、その謎を探るよう王子に命じました。王子は宝石の国の姫に近づき、二人はやがて恋人になりました。
ある日王子は
「結婚して欲しい。これからはお互い隠し事はやめたい。どうか宝石の秘密を教えてくれないか」と言いました。姫は誰にも言わないようにと念を押し、話し始めました。
「宝石の国の人は体の中の胆嚢という場所に石ができるのです。宝石は死んだ者の体から取り出したもの。もし、他国に知られれば、皆殺されて石を奪われてしまうでしょう」
王子は驚き、早速王様に伝えました。王様は兵隊を送り、宝石の国の人々を殺し宝石を奪ってしまったのです。

悲しんだ姫は自らの腹を裂き、緋色の石を取り出すと、呪いをかけました。
石は血の海となって、隣国を襲い、飲み込み、地獄へ流れ落ちました。

緋色の石は血の涙を流し続け、それは血の池の地獄となりました。
その他
公開:19/04/10 00:50
内臓二十物語 第六臓(胆嚢) 原案そるとばたあ

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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