人気スポット

8
8

大きな影がふたつ。
「ここか?」
「どうでしょう?」
「美しくて素晴らしい」
「人気スポットですからね。お先にどうぞ」
「うむ」
ザブン、ザブンと立て続けに大きな飛沫がふたつ上がった。
「少し冷たいですかね?」
「問題ない。気持ちが良いではないか」
「はい、お肌が引き締まります」
「塩分が豊富でキュッとなる」
ふたつの影から「あぁ」という呻き声が漏れた。
「おや、あれは何ですかね?」
「ふむ。その形、おそらくタツノオトシゴというやつだな」
「取ってもいいですか?」
「気を付けろ。表面に細かなものが蠢いているぞ」
ひとつの影がそれを掴み上げる。その瞬間、ブワッと何かが舞い上がった。
「ひっ!」
「ゴホッ、ゴホッ!」
「し、失礼しました!」
「かまわん。しかし埃っぽくなってしまったな」

ここは地球温泉。
掴み上げたのが日本列島で、舞ったのが日本人という事など、この宇宙人ふたりは知る由もない。
SF
公開:19/04/09 23:55
埃っぽくなる温泉 スクー

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容