俺たちに明日はない…はず
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家の引越し準備が進んでいる。
「もうやっていけない。俺たちに明日はないんだよ」
「まるで昔の映画みたいじゃない」
僕は両親の喧嘩に怯えながら聞いていた。
テーブルの上には区役所に提出する書類が置かれている。
押入れからダイヤル式の古い黒電話が出てきた。受話器を取って耳に当ててみる。
「やあ、せっかくの金曜日だから食事に行かない?」
どこかで聞き覚えのある声だ。
「母さん。声がするよ」
「そんなわけないでしょ!」と言いながら母は受話器を耳に当てた。
「あっ」母は一声叫んでそれきり黙り込んでしまった。父は何をしているんだと言いながら、母から受話器を奪い取り耳に当てた。
「こんなことって…」
父と母は久しぶりに目を合わせ、口を揃えて驚いた。
書類は区役所に提出されないまま父母と僕は今も一緒に暮らしている。
受話器の向こうから何が聞こえてきたのか、僕には今もわからない。
「もうやっていけない。俺たちに明日はないんだよ」
「まるで昔の映画みたいじゃない」
僕は両親の喧嘩に怯えながら聞いていた。
テーブルの上には区役所に提出する書類が置かれている。
押入れからダイヤル式の古い黒電話が出てきた。受話器を取って耳に当ててみる。
「やあ、せっかくの金曜日だから食事に行かない?」
どこかで聞き覚えのある声だ。
「母さん。声がするよ」
「そんなわけないでしょ!」と言いながら母は受話器を耳に当てた。
「あっ」母は一声叫んでそれきり黙り込んでしまった。父は何をしているんだと言いながら、母から受話器を奪い取り耳に当てた。
「こんなことって…」
父と母は久しぶりに目を合わせ、口を揃えて驚いた。
書類は区役所に提出されないまま父母と僕は今も一緒に暮らしている。
受話器の向こうから何が聞こえてきたのか、僕には今もわからない。
その他
公開:19/04/09 21:53
schoo
華金を楽しむ黒電話
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