誇りある国旗は埃を嫌う
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ある紳士が店にやってきた。
一家言を持っている紳士だ。適当な品物を出すわけにはいかない。
店の主人は、咄嗟に判断した。
「いらっしゃいませ。どのような旗をお探しですか」
「50周年記念式典を行うのだが、それにふさわしい国旗はないかね?」
「それではこれはいかがでしょう」
奥から出してきた旗は、ピシッと糊のきいた折り目正しく誇り高い旗だった。紳士は一目見て気に入った。
しかし、式典当日、その誇り高い旗は全くなびかない。人間に媚を売りたくないのか。それとも糊が効き過ぎてはためかないのか。
開場が始まり、大勢の人々が入ってくる。ライトに照らされた埃が舞い上がる。
すると旗がはためきだした。
「糊が効いていると思っていたが、人が入ると乗りがよくなるんだな」
いや、ちがう。店の主人の言葉を思い出した。
「この旗は潔癖症なんです。埃を嫌うんです」
埃を払うために旗ははためいた。
一家言を持っている紳士だ。適当な品物を出すわけにはいかない。
店の主人は、咄嗟に判断した。
「いらっしゃいませ。どのような旗をお探しですか」
「50周年記念式典を行うのだが、それにふさわしい国旗はないかね?」
「それではこれはいかがでしょう」
奥から出してきた旗は、ピシッと糊のきいた折り目正しく誇り高い旗だった。紳士は一目見て気に入った。
しかし、式典当日、その誇り高い旗は全くなびかない。人間に媚を売りたくないのか。それとも糊が効き過ぎてはためかないのか。
開場が始まり、大勢の人々が入ってくる。ライトに照らされた埃が舞い上がる。
すると旗がはためきだした。
「糊が効いていると思っていたが、人が入ると乗りがよくなるんだな」
いや、ちがう。店の主人の言葉を思い出した。
「この旗は潔癖症なんです。埃を嫌うんです」
埃を払うために旗ははためいた。
その他
公開:19/04/09 21:34
schoo
潔癖症の国旗
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