タンスの中

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そんな目で見ないでくれよ。君の顔があまりにそっくりだったからつい、ちょっと声を掛けただけじゃないか。
僕は小さい頃から、五千円札が好きで集めてた。何が好きって、あれに刷られた女性の顔が好きだった。
名前が樋口一葉だということを知ったのはいつだったかな?まあ、いいか。

手に入れるためなら、どんなことでもした。親の財布からくすねたこともあるし、友達のアルバイト代から取ったことも。集めたそれはタンスに仕舞った。幸い見つかることはなかった。

社会人になってからは、ずいぶん手に入れるのが簡単になった。
働いた分、僕のものになるんだから。
けど、そうなると今度は、もっと工夫を凝らしたくなる。そして思い付いた。
こんな顔をした生身の人間を探そうと。
そしたら君が居たんだ。運命だと思ったよ。

明日はそんな君とデートだ。今まで集めてきた子たちと一緒に。
だからもう一晩我慢してね。

そのタンスの中で。
ホラー
公開:19/04/09 20:30
タンス預金デート スク―

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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