鳥母雲

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ご主人はにゃんだっても、人一倍気遣い屋で、誰かの前で決して辛そうな顔はしにゃい。ご主人は僕を昼間、自由に外に出してくれてるから、夜は僕がご主人を癒してあげる。だけど、どうしても涙が止まらない日があって、そんな時は僕もお手上げ。頬を舐めてあげるくらいしかできにゃい。

だから僕は鳥母雲に頼んだ。鳥母雲は地球にいる全てのマザーで、必要な時に助けてくれる。

その日鳥母雲は大きな羽を風に滑らせ、音もなく夜窓辺に停まった。僕のお願いを聞いて来てくれた。

僕は寝ているご主人の側に鳥母雲を連れていくと、鳥母雲はご主人の中にスッと入った。少しご主人は唸り、それから安らかな顔になった。

きっと今頃鳥母雲の背に乗り空を駆けてるにゃ。そして明日には笑っておはようと言ってくれるんだ。

夜明け前、鳥母雲が出てきた。
僕に「彼女は貴方に助けられてるのよ、頑張ってるね」と翼で1度僕を包み、空に飛び立っていった。
その他
公開:19/04/10 15:08

綿津実

自然と暮らす。
題材は身近なものが多いです。

110.泡顔

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