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粉雪の舞うある日、十年ぶりに故郷の町に帰ってきた。
三年しか通わなかった小学校は建物が新しくなっていたけれど、迷いながらたどり着いた僕が住んでいたあたりは驚くほど変わっていなかった。
歩きながら目についたのはペットショップの建物だった。
木造の平屋で、傾きかけた店だったけれど、幼かった僕にとって、そこは夢のような場所だった。
思い出していた。
急な引っ越しが決まり、処分に困ってその店で買った熱帯魚を預かってもらう事にしたのを。
「またぜったいにむかえに来るからね」
と、僕は店の水槽におでこを当てて魚たちに言ったのだ。
主に魚類や小動物を扱っていたその店の看板はもうなく、ガラス戸の向こうには棚が残っているだけで、空き家のようだった。
ふと、ガラスに手を当ててみた。
意外な事にそれはほんのり暖かかった。
そしてそのガラスの向こうを幾匹かの熱帯魚が泳ぐのが見えたのだ。
「待っていてくれたんだね」
三年しか通わなかった小学校は建物が新しくなっていたけれど、迷いながらたどり着いた僕が住んでいたあたりは驚くほど変わっていなかった。
歩きながら目についたのはペットショップの建物だった。
木造の平屋で、傾きかけた店だったけれど、幼かった僕にとって、そこは夢のような場所だった。
思い出していた。
急な引っ越しが決まり、処分に困ってその店で買った熱帯魚を預かってもらう事にしたのを。
「またぜったいにむかえに来るからね」
と、僕は店の水槽におでこを当てて魚たちに言ったのだ。
主に魚類や小動物を扱っていたその店の看板はもうなく、ガラス戸の向こうには棚が残っているだけで、空き家のようだった。
ふと、ガラスに手を当ててみた。
意外な事にそれはほんのり暖かかった。
そしてそのガラスの向こうを幾匹かの熱帯魚が泳ぐのが見えたのだ。
「待っていてくれたんだね」
ファンタジー
公開:19/04/08 14:50
もともとは漫画を描いていました。
漫画のアイデアを文字で書いているうちにショートショートも書くようになったんですよね。
名前はもちろんペンネーム。
実際にはない名字を考えました。
読みは、男の子気分の時は『いえにら・まさみ』
女の子気分の時は『いえにら・まみ』に変わります(笑)
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