互いの夜

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僕は、そっと、彼女の頬に手を当てて、輪郭をなぞっていった。
今まで見たことのない彼女の素性がさらけ出されていく度に、僕の身体は徐々に火照った。
互いの影は、白いシーツの上に重なり、いつまでも思い出を作っていった。

窓の外では、土砂降りの雨が降り続けていた。五月の雨は、一向に、降り止む気配を見せない。まるで、互いの熱を鎮火させないように・・・

僕と彼女は、敬う時間さえも、忘れるほど、愛に没頭していた。
彼女の全てを知るには、夜は短く、時間が足りない。
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公開:19/04/07 23:12

神代博志( グスク )









 

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