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「私達の力では、この子を幸せにすることは出来ない・・・」
美咲は、孕んだ腹をゆっくりとさすり、涙を流した。

「そんなことはない。自分達の力で、何としてでも、この子を幸せにしてあげよう」
武は、美咲を抱きしめて、言った。

「離して」
美咲は、武を突き返した。

「大体、私達は、自分達のことで精一杯だし、明日を生きるだけでも四苦八苦しているじゃん」
東京の明かりが、目につきささる。

「確かに、今は、そうかもしれないけど、もう一つ、仕事を増やして、金は何とかするからさ。だからさ、絶対に、その子はおろさないで」
武は、美咲の哀しむ顔を見て、頼んだ。

「でも・・・」

「でもじゃなくて・・・僕を信じて」
武は、美咲を抱き寄せた。

東京の輝きは、夜を歓迎した。
その他
公開:19/04/07 22:57

神代博志( グスク )









 

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