車内アナウンスの不思議

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居酒屋「むし貴族」で、一杯やりながらしゃべる、太一さんと武さん。

「この間、電車で“急病人看護”というのを見たよ」
「へえ。どんな」
「ホームに止まった電車の、ドアがなかなか閉まらなくて。駅員さんがホームを走ってって、2人がかりで、女性を支えて来て」
「へえ」
「丁度開いてるドアの目の前のベンチに、座らせてあげたんだ」
「女性を?」
「うん。普通のOL風の女の人。目をつぶって、深呼吸しててね」
「立ちくらみとか、そんなのかな」
「かな。しばらくして笑顔になってさ。その人が」
「無事、回復?」

「で、電車が走り出したら、車内アナウンスがあった。“安全確認のため停車いたしました”って」

武さんは、腕を組んだ。
「急病人看護、と言わずに?」
「うん。どういう使い分けかね」
「車掌の判断で、言い方を変えるのかな?」

「決まりきった言い方って、結構はがゆいよね」
それが2人の結論だった。
その他
公開:19/04/07 22:28
体験談です

tamaonion( 千葉 )

雑貨関連の仕事をしています。こだわりの生活雑貨、インテリア小物やおもしろステーショナリー、和めるガラクタなどが好きです。

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