~あの話のその後~ 俺、憶えていますか?

0
4

俺は親の仇を取りたいと涙する子供達に懇願され、復讐の手助けをした。
相手は狡猾で悪知恵の働く猿。当然こちらも策を巡らせることにした。
結果、俺達は猿を懲らしめ、子供達は復讐を果たした。

そこまでは皆が知る話だと思う。だがこの話には続きがあるんだ。
復讐を果たした子供達は俺達に感謝し、酒宴を開いてくれた。
…俺を除いて。
いや驚いたよ。声をかけ忘れたのかと思ったら奴ら、俺を除け者にしていたんだ。
「アイツ臭いから近寄りたくないよな」
ブンブンと持論を掲げる蜂に賛同するは酒を飲み赤くなった栗。パチパチと手を鳴らしている。
仲の良い臼ですら黙って鼻をつまむジェスチャーをした。お前、鼻なんてないだろう!
子蟹達も「泡を吹くクサさだ!」と俺を笑った。

昔は猿蟹合戦と言えば馬の糞である俺の活躍も描かれていた。
しかし今では俺は存在しないことになっている。
それらの事に俺は憤慨する以上に悲しかった。
ファンタジー
公開:19/04/09 18:57

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容