花粉屋(五)

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「おい。さっきはよくも、犬っころみてぇに払いやがったな」
「邪魔な虫がいただけだ」
捻ねた頭に如雨露を傾ける。逆立った髪が委縮し、ぶるると身を竦める様は、まさに濡れた犬。
「何すんでぇ!湿気っちまうだろが!」
「うろつき回れるなら、移植は成功らしいな」
「へっ!俺ぁ一匹もんよ。飼い慣らそうなんざ、無駄無駄」
「……蒲公英の根は、焙煎してお茶に使える」
「ば、ばっきゃろーてめぇ、冗談……っ」
個体が若いせいか、よく喋る。市街の路地に在来種が一株。放っておけば、いずれ枯れるか、雑草として駆除される。余計な世話は百も承知。
「可愛い娘だったな」
「岩永百合さん。得意先の新人さんだ」
花のくせに下世話な奴。そして肝心な点が野暮だ。
「ときにお前、雄株と雌株は知っているか?」
「たりめーだろ。俺らみてぇな同株も、主格の雄雌はあんだぞ」
「人間にもある」
「おう。……ん?」
まあいいか。説明が面倒だ。
ファンタジー
公開:19/04/09 08:50

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。

小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍(電子/紙)を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。

☆SSGと皆様のお陰で生まれた本たち☆

ショートショート・アソート
Ver.0~街角のキセキ(※無料お試し版)
Ver.1~フラワリング・ライフ
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詩集
君に伝えたかったんだ。

いつも本当に、ありがとうございます!

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