タバコ臭い金モク星

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金モク星と呼ばれる星がある。
金星とモク星の間に位置するその星には、宇宙に浮かぶ、捨てられたタバコが吸い寄せられるように集まった。

パラパラと降り続く吸いがらの雨。
男は足下のタバコを拾っては、葉っぱを巻き直してシケモクを作り直していた。
そして日がな一日、雲間に覗く青い星を眺めて煙を燻らせていた。

しかし、タバコの高騰が進むと捨てられる吸いがらも減り、ついに雨は止んだ。
男はそれでもタバコを吸い続け、星は日に日に痩せ細っていった。

やがて、地面のタバコが無くなると、星の中心に家屋が現れた。
男の自宅だった。

男は土足で上がると、仏壇から父親愛用のタバコをひったくり、口に咥えて火をつけた。
吸いがらを畳に落として踏みつけたが、火は消えない。苛立しく畳に擦り付けていると足先に火が燃え移った。男は慌てることなく口を開け、煙を吐き出した。

「ぷはぁ」

男は吸いがらとなって燃え尽きた。
SF
公開:19/04/09 08:03
更新:19/04/11 07:00
スクー タバコ臭い金木犀

イチフジ( 地球 )

マイペースに書いてきます。
感想いただけると嬉しいです。

100 サクラ

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