R63号の初夢

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「博士、夢ガ見タイノデス」
と、わしの開発したR63号がいった。
「夢?」
「ハイ」
「あの睡眠中に見るやつかね?」
「ハイ」
今回のロボットは、少し人間に近づけ過ぎたのかも知れんなぁ。
R63号のために、夢を見られるよう人工知能に細工をしてやった。
さっそく彼は休眠に入った。

「初めての夢の感想はどうじゃね?」
休眠状態から覚めたR63号に訊ねた。
「博士⋯⋯暗闇ダケノ夢デシタ」
「なんじゃと?」
ロボットのために、富士山、鷹、ナスビがいっぺんに登場するプログラムを組んでやったハズなのじゃが⋯⋯。
「ソレカラ、鳥ノヨウナ鳴キ声ガ、微カニシマシタ」
「ふうむ⋯⋯」
わしは彼の人工知能を点検する事にした。

ああ、なんたる事じゃ。
こんな簡単なミスをしていたとはのう。
「うっかり、富士山とナスビの大きさを逆に入力しておったようじゃわい」
「デハアノ暗闇ハ⋯⋯巨大ナスビ?」
「ご名答!」
SF
公開:19/04/05 20:27
更新:19/04/05 20:53
ショートショートカレンダー 正月用です。 すんません。

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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