嫌なことは忘れよう

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「おはよう。気分はどう?」
目覚めた彼女に尋ねた。
「悪くないわ。で、貴方誰?」
彼女に聞き返された。
「僕は君の婚約者さ。君は辛い記憶に苛まれていたから今日、その記憶を取り除く手術を受けたんだ。すぐに僕のことも思い出すよ」
僕の言葉には何の信憑性もない。しかし彼女は信じてくれた。
「だって貴方を見た瞬間、私の体が貴方を求めているのが分かったの。私は貴方を愛しているわ」
彼女は僕を抱きしめてくれた。嬉しい。
しかし何故だろう。僕の胸はチクリと痛んだ。

僕らは間もなく結婚し、幸せな家庭を築いた。しかし僕の胸の痛みは増す一方だ。
彼女は僕を心配し、記憶を取り除く手術を薦めてきた。そうだな。僕も記憶を消してすっきりしよう。

記憶を取り除く手術中、僕は過去に消された記憶を垣間見た。
彼女は僕のストーカーだ。僕は彼女を一度も愛したことがない。
僕の体はこれからも彼女に拒否反応を出し続けるだろう…
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公開:19/04/07 18:48

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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