もしも、なんて

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僕が初めから何も持たなかったのなら、僕らはそれなりの幸せを感じていられたのかもしれない。

下ろされた君の艶やかな髪に指を伸ばす。

ふいに振り向いた君が不思議そうに僕を見上げる。

僕は曖昧に微笑して、君の言葉を遮る。

もしも。

もしもなんて、所詮もしもでしかないというのに。

君の姿が揺蕩った。
恋愛
公開:19/04/07 08:58

きざはしと同一人物。
140字小説を書きます。

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