マスカレ-ドキャット

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イタリアは水の都ヴェネチア。
幻想的な明かりに、マスカレ-ドキャットたちが歩いている。
土産物屋は猫グッズで埋め尽くされ、店ごと買いたいくらいだ。
自分に似合うかは別として、折角だからとマスカレ-ドキャットと化し、知らない人とも笑いあった。
飲めもしないビ-ルをちびちび。雰囲気だけでも酔える。

町中でダンスが始まる。
魅惑的なペアダンスから、輪になって好きにリズムをとるダンスまで。
女性と思われる黒猫さんに手を取られ輪に入った。ちょっと耳が垂れていて、僕が昔飼っていた『もなか』に似ている。
嬉しくて、ずっと彼女と踊っていたかった。
気づけば、たどたどしい英語で「幸せですか?」と聞いていた。
彼女は、ただ目を細めただけ。
でも僕は、それだけで心が暖まった。
その日、彼女の背中を見送り、マスカレ-ドを外した。

ロマンティックな夜の出来事だった。
僕の飼っていた『もなか』は、犬だったけど。
ファンタジー
公開:19/04/07 00:52

ibara_hime

文章を削る練習をしています。
妄想は得意。感想は苦手。   ・・・・・・です。

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