自販機テレポーテーション

そろそろ『出現』だ。家から３分の公園で、自販機にパスを通す。
最近の自販機は便利だ。ＧＰＳ－Ｗ（全地球測位転送システム）共有化で、機種固定が解除、どのメーカーも入出可能になった。
ここは『大動』と『ＪＴ（ジャストタイム）』で、会社の『ココ・クール・ポートリング』に跳ぶのに、前は駅まで歩いた。『参トリップ』と『Ａ・ＳＡＫＫＩ』が提携し、競争激化。パス会員になれば、回数無制限のオクリホーダイ、年間距離に応じて転割りも付く。
自動量子転移送迎サービス販売機＝略して自販機。ボタン１つで、機器の設置座標、何処でも瞬間転送してくれる。僕は主に通勤だが、国内だけで２５０万台。国際料金を払えば、海外も日帰り往復出来る。渋滞も信号も過去の遺物。交通事故も遅刻の心配もない。

定時の９時５分前、履歴を呼び出し、ボタンを押す。
――着いたら、会社は夜だった。
２０年に１回の時間調整。僕は初の大遅刻をやらかした。