金木犀に消えた臭い

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とあるバーで知り合った女と付き合うことになった。その女から同棲しないかと誘われ、彼女の家で暮らすことになった。

タバコ臭い部屋だった。彼女はタバコを吸わない。おそらく前にいた男のものだろう。俺は、その臭いが嫌で、金木犀の香りがする芳香剤を置くことにした。

「私、この匂い大好き」
「男の臭いが染み付いた部屋は嫌いだ。俺は、その男を忘れるための道具なんだろう」
彼女は黙り込んだ。
「そいつを忘れられるなら、俺の家で暮らそう」
俺はそう言い残し彼女の家を去った。

空家になっていた実家を改装し、彼女が好きな金木犀を庭で育てることにした。

数日後。

玄関のチャイムが鳴った。ドアを開けると、大きなボストンバッグを持って彼女が立っていた。
「いい庭ね」
「育てたんだ。金木犀」
「彼の臭いが…嫌になったの」
「ここで暮らせばいい」
「じゃあ荷物お願い」

ボストンバッグが開き、男が転がり落ちた。
ミステリー・推理
公開:19/04/06 23:09
更新:19/04/07 00:17
スクー ダバコ臭い金木犀 スクーのお題完走しました。

豊丸晃生( 大阪 )

ショートショートの神様、星 新一を崇拝しています。
お笑い系のショートショートを中心に書いていきたいと思いますので、よろしくです(^^)。

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