使う(のは)わけない

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ある日、旦那の留守中に義母がやって来た。
「佳子さん、私が預けたお金、見せてもらえる?」
旦那の実家は古い家で、義母が一人で住んでいる。泥棒が心配だからと、私と旦那が暮らすマンションで義母のタンス預金を預かっているのだ。
どうやら義母は私がそのお金を使いこんでいると疑っているらしい。私は笑顔で応じて、クローゼットに置かれた金庫を開ける。中の一千万円の束を確認して義母が安心したように溜息をついた。
「ごめんなさいね。最近、あなた達二人が何度も海外旅行に行ってるって聞いたもんだから…」
「それは晴彦さんの稼ぎですよ。お義母さんのお金を使うわけないじゃないですか」

義母が帰った後、今度は私の母がやって来た。
「佳子、金庫の中見せなさい」
金庫の中を見せると母はホッとした顔をした。
「ちゃんと一千万あるでしょ。お母さんのタンス預金、使うわけないじゃない」

さてと。
旦那と次はどこに行こうかな♪
ミステリー・推理
公開:19/04/06 23:01
更新:19/04/07 08:08
スクー タンス預金デート

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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