華金を楽しむ黒電話

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私が残業していると、部長が声をかけてきた。
「華金なのに残業させてすまないね」
「華金?」
「時代だなぁ。休日前の金曜日を華の金曜日、華金って言うんだよ」
「へぇ。なんかいいですね。でも華金じゃないです。私には」
「彼氏、いないの?」
「部長、それセクハラ」

その夜。部長と飲むことになった。
意気投合し、それがきっかけで付き合うことになった。華金って、いいな。

一年後……。

その日、私は実家に帰った。玄関のドアを開けると、電話のベルが鳴った。家はまだ黒電話を使っている。
「もしもし」
『結婚、するのね』
「うん。知ってたんだ」
『いい人で安心したよ。じゃあ和美。幸せにね』
「母さん……さよなら」
私は泣きながら受話器を置いた。


私は部長の奥さんになった。夫と娘の三人で幸せな華金を楽しんでいる。

「ねぇママ。今日おばあちゃんとお話ししたよ」
リビングに忽然と黒電話が置かれていた。
その他
公開:19/04/04 17:36
更新:19/04/05 13:35
スクー 華金を楽しむ黒電話

豊丸晃生( 大阪 )

ショートショートの神様、星 新一を崇拝しています。
お笑い系のショートショートを中心に書いていきたいと思いますので、よろしくです(^^)。

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