桜に纏わるエトセトラ(嘘)

14
14

 桜の花弁は桜にとって最良の土となる。
 
 万葉人は、巨大な穴に大量の桜の花弁を山のように集めて桜泥を作り、そこに桜を植樹した。

 その穴に人が身投げをしないよう監視したのが桜塚護。だが発掘された桜塚からは大量の人骨も出土している。

 自らを食って美を保つ凄絶さと、人を死に誘う魔性に、梶井基次郎は「桜の樹の下には」の着想を得、坂口安吾は狂気を感じた。

 桜泥が堆積して桜泥岩となり、さらにマグマに触れて変成(ホルンフェルス)すると、桜花弁石となる。これは桜石(稗田野の菫青石借晶など)とは異なり、ピンクの大理石のような性状だ。

 桜花弁石は桜の森の満開の下の地層などから発掘される。

 我妻郡野原新之助町には、桜が桜花弁石の割れ目から生える「石割り桜」がある。また桜泥岩からできた「桜地蔵」もあって、マニア垂涎の聖地となっている。

 湯河原の桜岩は、桜花弁岩ではない。

※本当もある
その他
公開:19/04/04 15:42

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容