人生の点数

6
7

「本田教授、私の人生って赤点ですよね」
 篠田涼子は、ゼミの授業が終わると、本田に問いかけた。
「いきなりどうしたんだね」
 本田は少し口元を緩め、力の抜けた笑顔で返事をした。

「なんだか最近、芸能人とか有名人を見てると思うんです。なんで私はこんなに普通なんだろうって」
「ナルホド。それで自分の人生が赤点だと評価していると」
 涼子は少しうつむくと、「ええ、そうです」と答えた。
 本田は椅子に腰を深くかけると、涼子の目を見て言った。
「篠田くん、君は『君の人生』と『他人の人生』は、『人生』という同じ科目だと勘違いしていないかい?」
「どういうことですか?」
 涼子が意味を理解できず、怪訝な表情を浮かべると、本田は「つまり」と言って続けた。

「君の人生は『篠田涼子の人生』という科目で、『他人の人生』とは別科目だ。君は『篠田涼子の人生』という科目の中で、高得点を取れればそれでいいんだよ」
その他
公開:19/04/05 11:22

花脊タロ( 京都 )

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