枕供養

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 「キミちゃん、どうしよぉ」
 母がパンパンの布団袋を前にオロオロしている。
「今回は何?」
「もう入らないんだよぉ」
「何が?」「枕だよぉ」「枕?」
 私は呆れた。
「燃えるゴミ!」「駄目だよぉご供養しなきゃキミちゃん調べておくれよぉ」
 仕方なく『枕供養』で検索すると、何と、お寺が一軒見つかった。
 母に縋るような目で「キミちゃ~ん」と言われ、私はその寺に布団袋を持ち込んだ。代金はかなり高かった。

一月ほど後。
「キミちゃん、どうしよぉ」
 母がボロボロの枕とビリビリの御札が入ったビニール袋を前に、オロオロしている。「今回は何?」
 添付の手紙を読んでみると、枕供養を頼んだ寺からだった。
『これは当方では祓いきれず、御札で仮封じいたしましたが、使用者共々火葬なさるよりほかありません』
 それは、私が中学生の頃に使っていた枕だった。
「キミちゃ~ん」
 と、縋るような目で母が言った。
ホラー
公開:19/04/05 09:57
更新:19/04/05 13:23

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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