特別な一皿

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ぺったん、ぺったん。
ヤスぴょんが手に水をつけ、合いの手を入れマミぴょんが杵を下ろす。
ぺったん、ぺったん。
その所作を繰り返すごとに臼の中の柔らかい塊が輝きを増す。
餅が大好物なので太陽の下、餅搗きは毎日しているけれども大体30日に一度、太陽の調味料ともう一つの調味料のバランスが絶妙になる日がある。
今日はその日、餅も搗くごとにキラキラと輝き絹色に光る。
「さあできた!」
お皿に取り分けられる白い餅を各々、きなこ、醤油、納豆果てはチーズなどを使って味付けをする。プレーンで食べるものもいる。
その日は地球では月が半月の時、太陽の光と地球の光が月に等分に届く日なのだ。
月の兎たちにとって太陽の輝きと地球の輝きは餅を最大限に美味しくする調味料で、月に一度の特別な日なのである。
ある手弱女が兎たちから上納された餅を口に運びとびきり笑顔を見せ一言。
「うーん、地球人にも分けてあげたい!はんなり!」
その他
公開:19/04/04 22:28
月の音色 月の文学館

ひさみん

ショートショートというよりも短編小説、掌編小説という感じになってしまうかもしれません。
自分のペースでやっていこうと思っております。
ショートショート・ガーデンにアクセスする頻度は高くありません。
1回のアクセスで多くても10作品見るかどうかです。すみません。

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