12
10

向かいの家にある桜は満開だが、今日で散りはじめるだろうなあ。
朝、雨を見ながら思った。
会社に出勤。差した傘にすぐさま桜の花びらがついた。
舞う桜の花びらは綺麗なのに、傘についたらゴミなのよね。雨の中を憂鬱になりながら駅に向かう。

「あっ!あのお姉さんの傘、お花みたい!キレイね!」

小さい子の声でハッとなる。そうだこの傘についてる花びらはゴミではない、花なのだ。そう思うからそうなのだ。そう、そう思うから……

親子連れの側に行き、声をかけた。
「あの角を曲がると桜の木があるよ。そのピンクの傘もお花になるよ」
「ありがとう!」
「ありがとうございます。行ってみますね」
「お姉さんいってらっしゃい!」
「いってきまーす!」

そうだ。何でも嫌なふうに思うから、憂鬱になるのだ。なんでも。

駅に着きパンっと、傘をたたむ。
勢いで傘についた花びらがキラキラと輝き私を包んだ。
春の魔法かも?
その他
公開:19/04/02 16:36

さささ ゆゆ( 東京 )

最近生業が忙しく、庭の手入れが疎かな庭師の庭でございます。

「これはいかんっ!!」と突然来ては草刈りをガツガツとし、バンバン種を撒きます。

なので庭は、愉快も怖いも不思議もごちゃごちゃ。

でもね、よく読むと同じ花だってわかりますよ。


Twitter:さささ ゆゆ@sa3_yu2





 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容