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朝、食器を洗っていたら手が滑って泡だらけの皿を取り落とした。腰で受け止めようと左足を半歩開いたら、床上の泡で滑って強制開脚状態になり背後に倒れかけた。咄嗟に右手でシンクの縁を掴もうとしたが、スポンジを持っていたため掴み損ね、冷蔵庫の野菜室に後頭部を打ち付けた。シンク内の食器類が崩れて大量の水が飛び散る。
身体を起こそうと冷蔵庫の取っ手を掴むと扉が開き、体を左へもっていかれた。その目の前に皿が落ちて割れ、破片が飛散する。顔を庇おうと慌てて取っ手を離すと、扉は勢いよく食器棚にぶつかり、内部で鈍い音が響いた。間髪入れず戻ってきた冷蔵庫の扉と、皿の破片とをマトリックスばりに避けていると、真上から卵がバラバラと落ちてくるのが見えた。「アッ」と思った瞬間、冷蔵庫の扉が全ての卵をなぎ払って閉じた。
膝、腰、首、肩、頭の激痛に耐えながらなんとか立ち上がり、流しの水を止めた時、一筋の涙が滴り落ちた。
身体を起こそうと冷蔵庫の取っ手を掴むと扉が開き、体を左へもっていかれた。その目の前に皿が落ちて割れ、破片が飛散する。顔を庇おうと慌てて取っ手を離すと、扉は勢いよく食器棚にぶつかり、内部で鈍い音が響いた。間髪入れず戻ってきた冷蔵庫の扉と、皿の破片とをマトリックスばりに避けていると、真上から卵がバラバラと落ちてくるのが見えた。「アッ」と思った瞬間、冷蔵庫の扉が全ての卵をなぎ払って閉じた。
膝、腰、首、肩、頭の激痛に耐えながらなんとか立ち上がり、流しの水を止めた時、一筋の涙が滴り落ちた。
その他
公開:19/04/02 16:33
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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