泡雪
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午後から晴れ間が見えたので、埃っぽい車をガレージから出す。
痺れるくらいの雪解け水に、洗車液をブラシでざぶざぶミックスしていると、バケツの縁に跳ねた飛沫から、小さいシャボン玉が2つ3つ生まれた。
シャボン玉飛んだ、屋根まで飛んだ。淡い白と無色のマーブルが、ふよふよ空へ上るのに合わせて口遊む。
屋根まで飛んで、こわれて――
ざぶざぶ。バケツの中、わざとブラシを掻き回す。
少し強くなった風が、屋根を避けて白いシャボン玉を運ぶ。まだ固いソメイヨシノの、先だけ覗いたピンクをすり抜け様、
ぱちん。雫の代わり、雪が弾けて梢に降った。
すきっと冷えた石鹸の匂いが、時間差で鼻をくすぐった。
せっかく口紅引いて、また白粉に逆戻りか。襟を掻き合わせながら、妙に気持ちが軽く、『シャボン玉~飛んだ』までを口笛でリピートした。
長くなった陽射しが雪化粧を撫でていくと、ピンクの上へ、虹のグロスが広がった。
痺れるくらいの雪解け水に、洗車液をブラシでざぶざぶミックスしていると、バケツの縁に跳ねた飛沫から、小さいシャボン玉が2つ3つ生まれた。
シャボン玉飛んだ、屋根まで飛んだ。淡い白と無色のマーブルが、ふよふよ空へ上るのに合わせて口遊む。
屋根まで飛んで、こわれて――
ざぶざぶ。バケツの中、わざとブラシを掻き回す。
少し強くなった風が、屋根を避けて白いシャボン玉を運ぶ。まだ固いソメイヨシノの、先だけ覗いたピンクをすり抜け様、
ぱちん。雫の代わり、雪が弾けて梢に降った。
すきっと冷えた石鹸の匂いが、時間差で鼻をくすぐった。
せっかく口紅引いて、また白粉に逆戻りか。襟を掻き合わせながら、妙に気持ちが軽く、『シャボン玉~飛んだ』までを口笛でリピートした。
長くなった陽射しが雪化粧を撫でていくと、ピンクの上へ、虹のグロスが広がった。
ファンタジー
公開:19/04/03 19:47
童謡×本日の空模様
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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