ヒント:ブラック企業

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晴れて新入社員となった俺は、さっそく地獄での研修に挫けそうになっていた。
灼熱の中で行う血の池地獄の掃除では、中々とれない血の汚れに悪戦苦闘。三途の川のゴミ拾いでは、あまりの広さに終わりが到底見つからず。裁判で舌を抜かれる亡者たちの悲鳴を聞く度に、耳を塞ぎたくもなった。一週間もある研修期間。不安で仕方がなかった俺は、先輩に相談することにした。
「そういやお前高校生だったよな」
「はい、16の時に事故で死んで。いろいろあって今回地獄で働くことになったのですが、なかなか慣れることができず……」
「ううん。俺からしてみれば、ここの研修は寧ろ天国だけどなぁ」
「ええ!?」
天国?さすがにそれはないだろう。からかってるのかと疑ったが、先輩は至極真剣な顔をしていた。
結局相談はそのまま終わり、俺はまたしても地獄の研修に戻ることとなったのだ。
「そういえば、あの先輩の死因って何なんだろう」
その他
公開:19/04/03 19:16

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