ビー

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四月。新しい英語の教科書を開こうとしたら、指にチクリと痛みが走った。
ページの隙間から出てきたのは黄色い蜜蜂。あれよあれよと言う間に、教室中に蜂が飛び出した。
大騒ぎの挙句、何とか追い出したものの、僕の教科書はすっかり使い物にならなくなっていた。
どうやら印刷ミスの教科書が一冊だけ紛れ込んでいたらしい。
僕の教科書だけbe がbeeになっていたのだ。
元々動詞だけあって、花を求めてそれっきり。
「蜂め」
心の中で悪態をついたが、彼らはやはり蜜蜂だった。
「しょうがないわね。新しい教科書が来るまで見せてあげる」
そう言ってくれたのは、隣の席の女子。
それをきっかけに親しくなって、彼女は僕のhoneyになった。
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公開:19/04/03 08:16

堀真潮

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