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私がレジ袋の束になってから早一ヶ月。寂れた商店街で店をやってくのも大変ね。こんな駄菓子屋もう潰しちゃってもいいのに。
ガラガラ…
あら?休日なのにシャッターが開いた。鍵をかけ忘れてたのかしら。
店内を物色してるわ。泥棒?
こっちに来る!
雅夫、泥棒よ、早く来なさい!
やめて、レジの中は空よ!
壊さないで、高かったんだから!
雅夫、何やってるの!
もう、こうなったら私がやるしかない。私は袋を一枚剥がして後ろから近づくと、泥棒の頭にかぶせた。
「うおっ!」
地面にレジ袋を敷いて泥棒を転倒させると、次々にレジ袋を繰り出してシャカシャカと音を鳴らしながら泥棒を袋叩きにする。
「何やってんだ!」
音に気付いてやってきた雅夫が泥棒を殴り飛ばした。
よかった。でも、夢中になって最後の一枚を切り離してしまったわ。
お別れね。

さよなら…。

「おふくろ?」
消えゆく意識の中で、息子と目があった気がした。
ファンタジー
公開:19/01/09 22:01
スクー レジ袋の休日

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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