心に棲う化け物

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私はこの国を治める王族として選ばれた。
この国は一定期間ごとに国を治める者を抽選で決め、見事当選した私は今、国民から期待の眼差しを向けられている。

庶民の生活に慣れ切っていた私は、初めこそその高貴な身分であることに戸惑いを隠せなかった。だが、驚く事に1ヶ月ほどで慣れてしまった。
メイドや騎士とも仲良くなり、少しずつワガママも通るようになってきたある日、私は一つの決断を下すことを決めた。王族の抽選制度を無くしたのだ。

抽選制度を無くしたことでこの国は私の手中に収まり、様々な制度を立てる権利を得た。
国を豊かにするために税を取り立て、国を守るために徴兵制を始めると、国民からは非難の声が上がってくるようになった。抗議をしに来た者は容赦なく罰を降した。
死刑、死刑、死刑……そして今回も死刑。

そしていつしか私はバケモノと呼ばれるようになり、パンもケーキも口にできずに国民から罰を下された。
その他
公開:19/01/09 21:02

べね( 千葉 )

私の作品を読んで頂きありがとうございます。

趣味でショートショートを書いています。
だいたい即席で書いているので、手直しする事が多々あります。
多忙のため更新頻度はとても低いです、ごめんなさい。
星新一さんや田丸雅智さん、堀真潮さんの作品に影響を受け、現実感のある非現実的な作品を書くのが好きです。
最後の1文字までお楽しみください。

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