七夕の願い事

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おばあちゃんは昔から星が好きだった。
その夜も、大きな部屋の小さな窓から遠い空に浮かぶ星を物欲しげに眺めていた。

私がおばあちゃんの病室に着いた時、ベットの横に縦長の折り紙の切れ端のようなものが置いてあるのが見えた。
視線を上げると病室の隅に、この場所にあるのが不自然に思えるくらいのおばあちゃんよりも大きな笹があった。
「そうだ今日は七夕だね」
笹には短冊が何枚かぶら下がっていた。

「そら、パスポートは更新できたのかい?あれがあればどこへだって行けるんだろ〜〜楽しみだあね」私は来週新婚旅行だ。
おばあちゃんは、この通行パスを一度も持ったことはない。
「生きてればどこででも星は見れるのさ」と昔言っていたのを思い出した。

おばあちゃんが眠りについたのを確認し、帰ろうとした時ふと、笹の木に垂れ下がっている黄色の短冊に目がいった。
『星屑になるパスポート』
おばあちゃんが書いた願い事だった。
ファンタジー
公開:19/01/09 17:23
#schoo #スクー #星屑になるパスポート #3つの思考実験

umi

初心者です。ストーリーを描いたこと、ありません。
よろしくお願いします。

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