愛情芋

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ある朝、こんもりとした畑から水蒸気が上がっていた。大きな大きな畑はおじいさんとおばあさんの二人だけで丹念に芋を作り続けている。その畑から白い湯気のようなものが立ち上がっている。おばあさんは「何か燃やしたかのぉ」と畑の中に入って行くが特に燃えかすは無かった。おじいさんがその後やってきて畑を見るなり「これはまさしく愛情芋を授かったに違いない」。そう言うなり土を掘るとほんのり赤い芋が現れた。おじいさん曰く、『愛情を感じると、より美味しくなる芋がある。これがそうじゃ』と。
早速家に持って帰り蒸してみると、今まで食べた事のないくらい甘〜いとろけるような芋だった。

それを聞いた意地の悪いおじいさんは畑からこっそり芋を盗み蒸した。いい香りのする芋。一人でこっそり食べてみると世にも気色の悪い味がした。

実はこの芋、大切な人にあげるために蒸すと、甘くてホクホクになる不思議な芋じゃた。
ファンタジー
公開:19/01/09 15:04

まりたま

いつか絵本を1冊出せたら...
そう思いながら書いてます。
少しだけホッコリしていただければ嬉しいです。
でも、たまにブラックも書きますけど。

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