こんな夜はドーナツ買って帰ろう

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居酒屋に着いてから、入り口のドアばかり見ていた。

誰かの噂話や薄っぺらな口説き文句を安い酒で一気に流し込む。

早く帰りたいが半分、もしかしたら彼が来るかもしれないが半分。

「東京に行く前にみんなで集まろう。」
半年前に彼がそう言ったから、こんな日が来るという予感はあった。

この日のために3キロ痩せて、オシャレもメイクも研究した。

午前3時。
鳴り止まないコールに、誰かの酸っぱい胃液の匂いが鼻に付く。
どうやら彼女が出来たらしい。聞きたくないのに嫌でも耳に入る噂話を一緒に吐いてしまいたい。

それでも、もしかしたら彼が来るかもしれないなんて少しでも期待してしまう私はなんてばかなんだろう。

いつまでたってもドアは開かない。

これから始まる朝を予感させる澄んだブルーの空の下、行き場のない気持ちをどうしていいのかわからない。

こんな夜はドーナツ買って帰ろう。
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公開:19/01/08 22:45

ミルクティー( 愛媛県 )

本を読むのが好きで、いつか自分もこんなふうに自由に文章が書けたらいいのになぁと思って始めました。本を読むと今まで上手く説明できなかった感情を言葉にしてくれてスッキリすることがあります。いつか私もそんな風に人の繊細な感情を文字に起こせるようになりたいです。未熟な文章ですが目を通していただけると嬉しいです。

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