マイクの独白

僕は年季の入ったカラオケに置かれているマイク。毎日割と雑に扱われている。音が入ってるか確認するために僕の頭をポンポンと手のひらに叩きつけるのやめて欲しいんだよね、痛いし部品が緩むし。ああ、なんか学生の二人組が入ってきたよ。
楽しそうだね、青春だね。付き合い始めなのかな、初々しいね。女の子が僕を掴んで歌い始めた。なかなか歌上手いねこの子。
あ、唇触れたよ、さっきまで僕殺菌消毒済ってカバー被ってたけど店員なんて雑に拭いてるだけだからね？汚いよ？男の子の方もこっち見んな。
次は男の子が歌うのか、あんまし上手くないけどラブソング歌ってるね、いい所見せたいのかな。
あっ君僕に口つけるんじゃないよ女の子が口つけたの見てたからだろ気持ち悪いな。
女の子は気がついてないけど顔赤らめてんじゃないよ。手汗もベタベタじゃないか。
そんなだからこのマイクくさーいとか言われるようになるんだよ。
本当、参るね。