最高の一日

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中山競馬場、有馬記念。電光掲示板に表示されたレース結果を確認し、俺は両手を天に突き上げた。8-12-15の3連単。配当は25,340円。千円買ったから25万。今日は今年最高の一日だ。

カシャ

シャッターを切る音がして振り向くと、黒服の女性が俺にカメラを向けていた。
「な、なんだよ?」
「あら、私が見えます?たまにそういう方がいるんですよね」
女性は俺に近づくと、名刺を取り出した。
「株式会社思い出復旧サービス?」
「はい。私は30年後の未来からあなたに依頼されて来ました」
「俺が?」
「はい。人生で最高の一日を思い出に残したいとのご希望で」
「へぇぇ、未来はそんな事が出来るんだ」
と感心してから、その言葉の意味に愕然とした。
「ちょっと待って。これ以上は無いの?競馬も?私生活も?これが俺の人生のマックス?」
黒服の女性は黙ったまま、ニコニコと微笑んでいる。
「教えてくれよおおぉぉぉ!」
ファンタジー
公開:19/01/06 17:13
更新:19/01/06 17:21

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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