あのぴーは嫌だ

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「あのぴーはくうだね」
街中でそんな会話を耳にした。私は目線を上げ、1組の夫婦に向けた。
「いや、でもあのぴーはいやだ」
夫が渋い顔をする。妻は困り顔だ。
「でもそろそろ時間じゃん。案内の電話しないとだし。ほら、あのぴーはまんであっちのぴーはくー」
どうやら『ぴー』には二種類あって、『くー』か『まん』で大別されるようだ。だがぴーって何だ?私は周りを見回したがよく分からなかった。
「でもあのぴーは高そうだし、入りづらそう」
夫の口ぶりを見ると、ぴーには品質が存在し、なおかつ体を入れることができるようだ。なんだ、ぴーってなんだ?
「だけどまんばっかりだ」
「あのぴーはくー!」
「よし、あのぴーにしよう!」
妻が電話をし始めた。なんだ、ぴーの話題はこれで終わりか?ぴーは私を置き去り、街に存在している。ぴーって一体なんだ?
「分からない」
頭をひねりながらも、私は車を取りに駐車場へと向かった。
ミステリー・推理
公開:19/01/08 15:26
ヒント:ぴーはP ある日の私たちの会話

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

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