伸びる猫

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男は公園のベンチに座ってのんびり缶コーヒーを飲んでいた。お昼過ぎ、この世界の全ての空気が弛緩している。ほら、男の目の前の猫だって、思いきり伸びをしながらあくびしている。

いや、ちょっと待てよ。何か様子がおかしい。伸びをしている猫が、伸びすぎている。実に気持ちが悪い。頭が普通サイズなのに、体長が2メートルほどになっている。何か特別な種類の猫なんだろうか。

ふと、男に考えが浮かんだ。猫を売って、一儲けしてやろう。サーカス団にでも売りつければ、まとまった金が入るだろう。猫は伸びを終えると、いつの間にか普通のサイズに戻っていた。男はさっと猫を抱き上げると、自分のアパートに連れて帰った。

明け方。男は大きな物音で目を覚ました。どうやら、目を覚まして伸びをした猫の頭が、アパートの壁を突き破ってしまったらしい。壁を突き破った猫は、そのままどこかに消えてしまった。
ファンタジー
公開:19/01/07 23:05
ノビ

すちふくろう( 茨城 )

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