OM2

「も、漏れる！」

盗んだデロリアンで走りだした俺は、うっかり100年後の未来に来てしまった。
過去に戻ろうと日本版ドクを探そうとしていた矢先、驚愕の事実を知った。

未来にはトイレがなかった。

公園、スーパー、コンビニ、何処に行っても見当たらない。
田舎者を装い、お巡りさんに事情を聞いてみると、OM2と呼ばれる携帯型トイレが発売されて以来、トイレの必要性は失われ、その数は激減したらしい。
OM2の使い方も聞いた。
装着して用を足すと、汚物は内部の小型ブラックホールに吸い込まれ、その後、お尻をやさしく水洗い、風を流して乾燥してくれる。

目の前のお巡りさんからジャージャーと、水が流れる音がする理由がわかった。

「……なんて、事情はわかっても、も、もう限界……漏れ……」

※※※

起きてしまった事はしょうがない。
事前に穿いていた吸収性の高いオムツに感謝しつつ、引き続きトイレを探した。