花束を私に

年末の疲れが出、うだうだ過ごした休み明け、仕事初め前日の本社。黙々と冷蔵庫を片付ける。
新年一番が、ゴミと花の屍と、冷下＆零下のリピートオンリーミー。当番だから我慢するけど、どうせ注文も問い合わせも来ないのに。
ついグレるのは、唯一今日指定の業務が、いたく私のお気に召さないせい。
我が社の特典『バースデーフラワー』社員の誕生日、社長から（正しくは社長予算で）花束を贈られる。これが私には嬉しくない。今年に限っては嬉しくない。
だって、今日が私の誕生日。自分へのお祝いを自分で作って自分で貰う。侘し過ぎる……。
気温より寒い気分で注文書にサインし、読まずもがなの内容確認……時間指定１５時？帰るの夜だよ。

ピンポン♪
玄関チャイムが鳴って振り返る、１５時ジャスト。
「毎度～ＸＸ運輸です」
予定外の荷物は、発送も届け先もここで、受け取りは私の名前だった。

封を切った箱から、花の香りが広がった。