Kの肖像

4
12

 同窓会。先頃他界した恩師の遺影に近況報告をしていて、ヘンな話になった。
 幹事のYが、欠席者の近況をみんなに訊ねていて、Kの消息だけが判然としない。
 ご近所だったMは「シンガポールに越した」という。だが、Kと年賀状のやりとりがあるDによれば、浦和の住所で届くという。
「在宅でアプリ作ってるって」
「運動会で血だらけになったよな」
「バスケットボールの神」
 会場がざわつき始めた。
「いつも冗談ばっかりでね」
「でも、基本ネクラじゃん」
「物理で満点とってたよな」
「だけど地元の文学賞で佳作よ」
 印象はバラバラだ。
 Yが卒業アルバムを開いた。
「これがK」「こっちがK」
 決を採ると、K1とK2に有意な得票差はなかった。
 そして、K1支持派にK2の記憶はない。逆もまた然りだった。
 その後、次の同窓会にK1とK2を確実に出席させる方策が検討された。
 遺影は、ずっと笑っていた。
ミステリー・推理
公開:19/01/06 12:59

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容