ひいたもの

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高校卒業以来の再会。四人は初詣にくりだした。落ちこぼれと言われても、いつも楽しかったのは、この仲間がいたからだ。

参拝もそこそこに、おみくじをひく。が、何かおかしい。そこには吉も凶もない。

巫女さんをナンパしていたカズキが遅れてやって来た。おみくじには[気]の一文字。なるほど…ね。

「俺がひいた[人]ってのは、お前か」
トラックを転がすシゲが睨みをきかす。

「そこを跨がって[引き金]ひけっての?」
とは、チンピラ風情の職なしリュウ。

「じゃ、最期に[レクイエム]ひいてやるよ。安心して死ね!」
バンドマンのシオンが中指を立てる。

ぽかんとするホストのカズキに、皆で蹴りをかます。

「ちょっ、何なんだよ」
「うるせえよ。まずはお前、 振られてこい」
「手をひけってか」
「がはは、飲みいこうぜ。退け、ひけー」

年が明けても、空は変わらずに青い。そりゃ笑い声だって、変わるわけねえか。
青春
公開:19/01/05 23:27

糸太

400字って面白いですね。もっと上手く詰め込めるよう、日々精進しております。

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