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男は私の目の前に名刺をかざした。
『位置エネルギー信託協会 窪地隆』
「で?」
「友永さま。現時点での高低差資産はご存知ですか?」
「そんなもん知らないよ」
「友永さまぁ~ 今、十五階から跳ばれて三階の庇に着地した、その残り三階分も加算されたんですよ」
ひどい頭痛がした。
「正規計算による生涯高低差資産は、640mになりました」
窪地は上機嫌だ。
「国家から『十三階段』分の運用も任されている我が組合に、友永さまの高低差を託しませんか?」
「メリットは?」
「天国までの足し… というのは冗談で」
つまらない。
「最近は、発電事業に注力しております」
「分かった」
もう、どうでもいい。
「では、ご存命のうちに高低差を我々に信託するという書類へ。拇印で結構です。朱肉は… 不要ですね」
ペタン。
「ありがとうございました」
そして窪地は、位置エネルギーの利子か何かで、飛び去っていった。
『位置エネルギー信託協会 窪地隆』
「で?」
「友永さま。現時点での高低差資産はご存知ですか?」
「そんなもん知らないよ」
「友永さまぁ~ 今、十五階から跳ばれて三階の庇に着地した、その残り三階分も加算されたんですよ」
ひどい頭痛がした。
「正規計算による生涯高低差資産は、640mになりました」
窪地は上機嫌だ。
「国家から『十三階段』分の運用も任されている我が組合に、友永さまの高低差を託しませんか?」
「メリットは?」
「天国までの足し… というのは冗談で」
つまらない。
「最近は、発電事業に注力しております」
「分かった」
もう、どうでもいい。
「では、ご存命のうちに高低差を我々に信託するという書類へ。拇印で結構です。朱肉は… 不要ですね」
ペタン。
「ありがとうございました」
そして窪地は、位置エネルギーの利子か何かで、飛び去っていった。
ファンタジー
公開:19/01/04 11:44
更新:19/01/04 18:07
更新:19/01/04 18:07
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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