犬も歩けば

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ワン、ワン。
キャン、キャン。
バウ、バウ。
クゥーン、クゥーン。
これは鳴き声ではない。足音だ。
大晦日の夜、神のもとに犬たちが集まってきていた。
「ご苦労じゃった、皆の衆。さぁ、褒美じゃ」
神が超高級ドッグフードを振る舞う。しかし、どの犬もその場に立ち尽くしている。
「どうした?」
怪訝な顔をしている神に、一匹の犬が口を開く。
「犬も歩けば足が棒になります」
そう、どの犬も一年間休みなく歩き続け、すっかり足が棒になっていた。
「確かに足が錆び付いておるな。よし、今から一匹ずつ油をさしてやろう」
「ありがたきお言葉」
こうして犬たちは十二年後に向け、メンテナンスされる事となった。

日付が変わる。新年の幕開けだ。
猪のロボットたちがブヒブヒと猪突猛進、元気に走り出した。
犬たちが呟く。
「足音、ブタじゃないか?」
「それより、あんなペースで走ったりしたら一年どころか、三日で足が錆びるぞ」
その他
公開:18/12/31 23:45

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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