置き手紙

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夏の暑い日、自転車を漕ぎながら山の中腹にある祠に向かう。
セミは唸るように鳴き地面から湯気が立つような昼間だ。
小学生の俺はその祠に手紙を入れて、誰だか知らない人と往復書簡をしていた。小さい俺はそんな言葉は知らない。祠の父さんに置き手紙をしてた。
俺の現実の親父は最悪だ。俺はアイツにいつか殺されるんじゃないかとビクビク暮らしてた。
親父に散々殴られて途方にくれた時その祠で怯えて泣き、手紙を見つけた。
「おまえはみじめではない」
読んだら泣けた。俺の親父はこの人だと思いたかった。俺はそれから祠に手紙置いた。本当の親父に関する悩みが多かったが書くと自然と気持ちが落ち着いた。毎週手紙を祠に置き、祠の父さんの手紙を読んだ。そして辛い日々を辛うじて耐えた。
何年も何年も続き、俺が上京して往復書簡は終わった。

もう月日がだいぶ経つ。
あの時の親父より歳をとった。記憶の祠はそのまま。中には鏡しかない。
青春
公開:18/12/31 23:15
更新:19/01/01 21:04

さささ ゆゆ( 神奈川 )

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さささ ゆゆ@sa3_yu2





 

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