正月の一家

除夜の鐘に初詣に駅伝に成人式。正月の寒い中をでかける元気な人種は、リア充か駅伝走者かヤンキーだ。
そう思って今年はコタツでまったりのつもりだったが。

「オラ、そろそろ準備しろ」
「今年はアンタの晴れ舞台じゃない」
元気な人種はウチの家族。父と母だった。
「うっせー。今年はまったりするんだ」
ゴン。兄もか。その左手には、用意された真新しい服、殴った右手から出てきたのは、鍵。

思い出した。十六歳はタツんだ。それは十五か？
とにかく、今までとおなじではいられない。
家族のケツをついていけばいい年頃は、過ぎた。
鍵をまわして、道を拓くんだ。

正月の寒い中をでかける元気な人種は、リア充か駅伝走者か・・・
父、母、兄、叔父、イトコ、ダチ・・・エキゾーストが薄明に一斉に響く。
みんな一緒だ。そうだよな。アタシら家「族」だし。
取り立ての免許と新品の特攻服で、今年はアタマで、走り出しますか。