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他の乗客はみな、五合目のクローバー広場で降りた。私は車窓からクローバーを毟って、発車を待った。今、列車は火口を周回している。
不意に車掌が現れ、アンケートを手渡された。
Q:あなたは何故、戦わないのか?
『戦い方がわからない。役立ちそうにもない。求められていない。守るべきものがない。意味がわからない』
書き終えた後、『誤植訂正。戦わない→働かない』という記載が目に入ったが、別に書き直す必要はないと気付き、戻ってきた車掌に手渡した。列車は、火口をぐるぐると下り始める。
途中で一度も止まらず、列車は底の駅へ到着した。車掌と運転士がそれぞれの部屋を出て、私の前ですれ違い、部屋を交代した。
私が下車すると、表示が「回送」に変わって扉が閉まった。
ホームには、下りボタンしかないエレベーターが、扉を開けていた。
私は、さっき毟ったクローバーをホームに並べて、懸命に、四つ葉を探している。
不意に車掌が現れ、アンケートを手渡された。
Q:あなたは何故、戦わないのか?
『戦い方がわからない。役立ちそうにもない。求められていない。守るべきものがない。意味がわからない』
書き終えた後、『誤植訂正。戦わない→働かない』という記載が目に入ったが、別に書き直す必要はないと気付き、戻ってきた車掌に手渡した。列車は、火口をぐるぐると下り始める。
途中で一度も止まらず、列車は底の駅へ到着した。車掌と運転士がそれぞれの部屋を出て、私の前ですれ違い、部屋を交代した。
私が下車すると、表示が「回送」に変わって扉が閉まった。
ホームには、下りボタンしかないエレベーターが、扉を開けていた。
私は、さっき毟ったクローバーをホームに並べて、懸命に、四つ葉を探している。
その他
公開:19/01/02 11:09
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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